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ゴルフ場パイプラインの漏水問題

  一般にゴルフ場散水設備は5月初旬から9月初旬までの4か月が使用期間である。未使用期間はポンプ電源を切りにしても良いと考えられるが、本管配管内に空気を入れたくないので、未使用時も含めて常時加圧する自動給水方式を採用するのが通例である。そこで、老朽化したパイプからの漏水量が増えてくるとポンプは頻繁に入り切りを繰り返し、さらなるパイプ抜けの原因となる。これはパイプのためには圧力変動を頻繁に繰り返さない方がよいのです。そこで、パイプの漏水とポンプの運転状況について原因と対策を考えます。



漏水で頻繁に入切運転
漏水の原因について考える

■漏水の原因

  一般にゴルフ場の散水に使用される散水用塩ビパイプの耐用年数は20年から25年である。特にはオイルショック(昭和48年〜54年)期間中に建設されたゴルフ場は塩ビパイプの材質が悪い上に、のり付け施工(TS工法)で接合されている。こめためパイプからの漏水事故が全国のゴルフ場で発生しているのが現状です。 また、各ホールのスプリンクラー位置での必要圧力は4気圧以上が必要で、コースの高低差を含めるとパイプ内圧力が10気圧以上かかるホールもたくさんあるのが現状す。そこで先ほどの、のり付けパイプは、古くなって”のり”がはがれ、圧力の高い箇所の継ぎ目から漏水することがよく起きるのです。


のり付けパイプの抜け

継ぎ手のヒビ割れ
■パイプメーカー保証水圧とは
  塩ビパイプメーカの保証水圧は静水圧(水頭)75m+ウォターハンマー圧力25m=合計が100m以内(JIS10kg/cm2)です。例えば、ゴルフ場の散水用ポンプ停止圧力は80m+高低差30m+Wハンマー25m=135mとなり、ゴルフ場の散水用パイプは10気圧を超えていることがよくあります。このようにパイプ保証水圧以上で使用していることがゴルフ場パイプラインに漏水事故が多い最大の原因です。
   *1気圧=10kg/cm2=水頭10m

圧力測定

■散水用ポンプの種類
 ゴルフ場の散水用ポンプはパイプ内を一年中加圧しています。そして水がほしい場所だけ電磁弁を開放して散水する方式が通例です。この場合ポンプは自動給水ポンプシステムを導入します。この自動給水を行う方式としては以下の二方式が一般に導入されています。

@圧力タンク方式
 現在の多くの散水用ポンプ設備は圧力タンクと圧力スイッチを用いた自動給水システムで起動停止しています。この方式は一年中最大使用圧力範囲*で加圧給水しているからパイプからの漏水量が多くなると頻繁にポンプが入り切りを繰り返し、さらなる漏水問題の発生源となることが多いわけです。
*例えば  起動6気圧で運転圧力が7気圧で停止圧力が8気圧など

Aインバーター制御方式
 シングルインバーター制御盤を用いて吐出圧力を一定にする方式です。圧力は一定になるのですが、以下のようなデメリットもあります。
○誘導雷など,雷に弱くLSI制御基盤を焼くことがある。
○圧力変更が面倒で、季節毎の圧力設定は不可能です。
○液晶表示が見づらくなることが多い。
○ポンプ停止時に一時、圧力が上がることが、ままある。
            などの不都合な点もあります。

圧力タンク方式

インバーター表示


誘導雷による基盤の交換

■やってはいけないポンプの停止運転
 夏場の散水最盛期の夜間に、散水本管からの漏水事故が多発すると、漏水事故によるコースの土砂流暴が恐ろしくなり、コース管理では散水時間帯だけポンプの電源を入りにして、通常は切りにして運用しているコースもよくみかけます。この方法はポンプを切りにしている時間にパイプ内にエアーが入り、次回運転時にエアーハンマーでパイプの抜けを助長する危険性があり、漏水の危険が増します。このように悪循環を繰り返すので、”ポンプの停止運用”はやってはいけない運転方法です。



ポンプ電源の入り切り運転
解決策を考える

   それではどのような解決策があるのか、これまでの施工事例をもとに   考えてみます。

■解決策1=布設換え
 一番時間と金がかかる方法ですが、一番確実な方式です。既設散水パイプは無視して、新規にゴム輪式塩ビパイプに布設替えする方法です。ゴム輪式塩ビパイプは絶対に抜けません。抜けるのは本管分水継ぎ手から電磁弁や散水栓までのφ50φ40の、のり付け施工した1m程度の区間です。(この対応策は「パイプ施工の基本」でくわしく述べます)
また、必ず布設替えしなければいけない既設管もあります。
○散水本管径がφ75以下のφ65,φ50やφ40で出来ている細い本管。
○オイルショック期前後の古いパイプでパイプが黒ずんでいるもの。
○施工がいいかげんで、頻繁に抜けるもの。
○パイプが石に当たってヒビ割れが激しいもの。  
  など、設計上、施工上のミスは順次新規パイプに布設替えしていった方がよいと思います。

散水本管の布設替え

■解決策2=小型補助ポンプの追加
 既設散水ポンプはそのままで、散水本管満水用補助ポンプを設けます。散水未使用(期間)時は散水用ポンプを切りにしておき、補助ポンプは常時入りにしておきます。このように補助ポンプは2.2KWの低出力のポンプでで3気圧の圧力をかけて管内を充満させておきます。散水使用(期間)時は既設散水ポンプの電源を入れ通常通り散水します。散水終了後は既設散水ポンプは停止すると自動的に、補助ポンプに切り替わる方式に改造する。この方式では、散水未使用時に万一の漏水時にも補助ポンプは小型で吐出水量も少ないので、大事故になる可能性は少ないのです。このように、補助ポンプ追加の工事を行うことにより、一年の大半の未使用期間について本管パイプの保護と、小電力による省エネ設備に改造する方式があります。
(散水時間帯毎に散水ポンプをONにするか、夏場の散水期間帯をONにするかは漏水の頻度によって検討します。)
(散水ポンプのON/OFFはポンプ室内合流吐出弁の開閉で代用できます。)

補助ポンプ配置図

(クイックでA4PDFへ)
■解決策3=トリプルインバーターポンプに交換
 この提案は既設散水ポンプを取り外し、トリプルインバーター制御ポンプに交換する方式です。トリプルインバーター制御ポンプの特徴は吐出量(漏水量)に比例して低速で回転するので、省エネとなり、電力料金の節約になる。また、トリプルインバーターポンプは設定圧力が簡単に変更できるので、未使用期間の8ヶ月は設定圧力を3気圧に設定する。一方、散水使用期間の夏場4か月は必要設定圧力例えば7気圧に設定変えする。このように未使用期間は圧力設定を極端に下げる方法です。この方法により、年間漏水量は大幅に少なくなり、漏水事故を減らし、電力量も極端に減少します。結果的には散水本管パイプの寿命を長持ちさせることになります。

トリプルインバーターポンプ

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