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パイプ施工の基本

■ 水圧と管種
 水道用パイプラインに用いられる管種には、鋳鉄管、SGP鋼管,塩ビパイプ,ポリエチレン管などがあります。一方、日本のゴルフ場で用いられるパイプの管種は塩ビパイプ(VP)がほとんどです。塩ビパイプは施工が簡単で、一番安価です。ですから公共水道の様に高圧用鋳鉄管や耐震用ポリエチレン管は高価で使用出来ないのが現状です。このようにゴルフ場で多用されている塩ビパイプの最高使用圧力はJIS10Kg/cm2です。ウォーターハンマーを含めて10気圧ですから常用水圧は7.5気圧以下がメーカー保証水圧です。一方、ゴルフ場のポンプ吐出圧力は7.5気圧以上あるところがほとんどで、30mも下ったホールでは10気圧を超えた管内圧力が年中かかっています。

 ところで、塩ビパイプの接合方法には「ゴム輪式塩ビパイプ接合方法」と「TS式のり付け接合方法」の二通りがあります。

低いホールは10K以上
の高圧がかかっている

 ゴム輪式接合の施工品質は施工者の技量に左右されにくい施工方法で、一度通水すると15気圧程度の水圧でも抜けることはありません(割れることはありますが)。ですからゴム輪式接合された、散水本管φ100やφ125のパイプラインは一生ものです。一方、TS式接合の施工品質は施工者の技量に大きく左右されます。しかし本管から分水した電磁弁や散水栓までの一次側水圧区間のチーズ、エルボの接合方法は今のところ、この不安定なTS式接合をするしか方法はありません。(たまにSGP鋼管をねじ切り接合されているゴルフ場も見かけますが、将来ネジ部が腐り、漏水します。) そこで、今回10気圧以上かかるホールでも”絶対抜けない塩ビパイプのつなぎ方”を説明します。



一次側高水圧区間

       ”ぜったい抜けない塩ビパイプのつなぎ方”

 主にφ40とφ50の塩ビパイプのつなぎ方について述べます。これから述べる施工方法できっちり施工すると、接着接続部分は15気圧程度まで抜けません。ただし、埋め戻しでパイプが石に当たっていたり、エルボに曲がりのセン断力を掛けて埋め戻した場合はパイプや継ぎ手にヒビが入り、割れることがあります。なお配管作業に当たってはイボ付き軍手かゴム手など滑らない手袋か素手で作業してください。 


セン断力による割れ
■ポイント1:垂直に切る。
 塩ビパイプに切りたい寸法でマジックで印をします。垂直に切る自信が無いときは、パイプ外周に目印をつけるのがよいでしょう。そして塩ビのこで、垂直に切ります。万が一、斜め切りをした場合は切り直します。斜め切りは先端の接合箇所が一点になり、抜けの原因になります。


垂直に切る
■ポイント2:面をとる。
 面取り器(最大50mm用)で切り口の内面、外面の面をとり、パイプ先端にテーパーをつけます。φ65以上は面取り器が市販されていないので、ディスクサンダーで面をとります。この面とりを十分に行い、挿入側パイプの先端をテーパーにすることで、継ぎ手の内面テーパ部と合体します。この作業をいい加減にしないことです。また、切り粉は十分ウエスでふきとります。ノズル詰まりの原因になります。


面取りは肝心
■ポイント3:マーキングする。
 挿入パイプにマーキングする。ここが最大のポイントです。プロの水道屋さんは、なめてかかってマーキングしません。水道の様に使用水圧が低いと90%の挿入深でも良いのですが、ゴルフ場の散水本管一次側は10気圧以上かかります。ですから挿入深は100%でなければ、抜けます。そこで、パイプ接続直後の抜け戻しがないか、きっちり入って接着できたか、目視確認の為に目標挿入深をマーキングします。

面倒なマーキング
■ポイント4:マーキングの方法。
 
マーキング寸法はTS継ぎ手の最大挿入深です。即ち、パイプが奥にコツンとあたり、これ以上は入らない最大値です。使用継ぎ手にメージャーをつっこんで計ります。φ40mm=55mm φ50mm=65mmです。挿入パイプの面取りをした端から目標の挿入深で横線を引きその外側にレ点をつけます。レ点は横線を飲み込んだ場合に挿入深がわからなくなるので、念のためにつけます。使用マジックは中太油性マジックが最適です。太いと正確な挿入深がわかりません。写真のようにマーキングをいれます。現場監督は施工に立ち会わなくても、埋め戻し前に接続箇所のマーキングをチェツクすることで、抜ける施工か抜けない施工か判別することができます。

マーキングが命
■ポイント5:のり付け。
 いよいよ接着剤の塗布です。接着剤は1k缶を用います。1k缶には丁度適当な大きさの刷毛が付いているからです。まず、パイプと継ぎ手の接続部分のゴミをウエスを用いてよく拭き取ります。始めに固定されている挿入される方の継ぎ手側に塗布します。その次に挿入する側に塗布します。塗布の方法は薄すぎず、つけすぎず、です。ベトベトにつけすぎるのはよくありません。そのため缶に浸ける度に抜いた刷毛の、のりを落とす。
(ここが肝心)そしてていねいに、マジックラインまで塗布します。(ここが肝心特にメン側に塗り残しがないようにのぞき込んで確認します。


刷毛の、のりは落とす。
ポイント6:挿入する。
 挿入は「陸上で作り物をする上下接続方法」と「掘削穴の中でテコで押し入れる水平接続方法」と「直線接続方法」の三通りについて述べます。
@陸上で作り物をする上下接続方法
 面取り、マーキング、のり付けまで加工完了した、メン側の継ぎ手を当て木の上に立てます。(芝の上では地面が下がるので、固い板の上で作業します)次にオン側を手に持ち一気に全体重を掛けて挿入します。そのまま、30秒保持します。マーキング位置まで入っているか、抜け戻りがないか、目視確認して一箇所の接続は完了です。(同じ物を多数作る場合は室内で作り物をした方が、品質の良い物ができます。また、手引き”のこ”ではなく、電動高速カッターを利用すると簡単に垂直に切れますし、面も取ることができます。)
A掘削穴の中でテコで入れる水平接続方法
 挿入される側の継ぎ手側が穴の中で動く場合(逃げる)場合はスコップ、バールなどで裏当てをして、1人の人にもってもらいます。そして、挿入する側に仮挿入して挿入側のスコップ・バールを動かないよう土にさし込み、両側からテコで押し合うことができる準備をします。そして、両面にのり付けです。のり付けしてから焦らないようにオンをメンに挿入し、2人で一気にテコをきませます。マーキング位置まで挿入されていれば30秒間保持し、抜け戻しが無いことを確認して、1箇所の接続は完了です。挿入のポイントは出来るだけ、陸上(室内)で作り物をして穴の中での作業を減らすこと。のり付け後は焦らないことです。焦るとテコが滑って力がかからないことがよくあります。挿入深まで入らなかった場合は、切り戻してやり直しです。
B直線接続の場合
 パイプとパイプを接続するような直線接続の場合は1本目のパイプに土が入らないようキャップ仮止めをする(軍手でもよい)。ソケット接合はパイプが動かないよう2人でテコで押し合いながら接続する。1本目のパイプを3箇所ほど仮埋めをして、動かないように締め固める。2個目のソケットをテコで入れる。2本目のパイプは人力斜め入れで、全体重を掛けてマーキングまで十分にいれる。2本目のパイプの途中を3箇所ほど埋めて、動かないように固定する。これを繰り返していきます。


上下接続作り物














斜め体重入れ
■ポイント7:埋め戻し
 いくらきっちりした接続をしても、いい加減なゆるゆるな埋め戻し(土圧)では空中配管と同じで、抜けの原因になります。抜け予防には土圧は重要な要素です。埋め戻しは、良質土で踏み固めながら継ぎ手の裏込めをしながら、スコップの柄で土を硬めながら埋め戻します。石がパイプにあたることがないよう丁寧に人力で埋めてください。また、10気圧以上かかるエルボ、チーズの裏手には測量杭や松杭などの木片を当てて、継ぎ手が動かないよう支保します。このことが、雨降って地が固まるまでの抜け防止になります。また、ランマーなどで転圧する場合はパイプに曲がりの力がかからないよう、均一に転圧してください。片方からのセン断力がかかると、将来パイプや継ぎ手にヒビ割れが起こることがままあります。

裏当て木
■ポイントのまとめ
水道配管のように使用圧力が7気圧以下の配管であれば、それほど、気を使った、丁寧な施工は必要ありませんが、10気圧を超えるようなホールの一次側、のり付け施工は以下のことに気をつけて丁寧に施工してください。
@接合1箇所毎にマーキングをして抜けが無いか確認する。
A接着剤の塗布量は薄すぎず、付けすぎず。
B全体重で上下に接続するか。テコで水平接続するか。腕力での挿入は御法度です。
C挿入後30秒程度力をかけ続ける。マーキングの抜け戻しの有無を目視確認して1箇所完成。
D埋め戻しは丁寧に締め固めながら、人力で行う。10気圧以上かかるホールのエルボ接続は当て木をして埋め戻す。
(いずれも分かり切ったことですが、手抜きをすると必ず抜けます。)

締め固め埋戻し

        電磁弁の組み立て方    
 最近、砲金製電磁弁は非常に高価になったので、ここではプラスチック製電磁弁50Aを用います。接続用管材はHIバルソケ、ステンレス角ニップル、止水弁、メタル入りバルソケです。ここでは中間ニップルは良く腐って水漏れしますのでステンレス製を用います。バルソケは管理機械が乗って割れることがあるので、一次側にはメタル入りバルソケを二次側にはHIバルソケを用います。組み立てはバイス台のある室内で行います。
@電磁弁をバイス台に挟みます。
AHIバルソケのネジ部にヘルメチックを薄く塗布します。
Bネジ部にシールテープを右回りに2周巻き、軍手でねじ山に食い込ませます。
Cそのシールテープの上に再度ヘルメチックを薄く塗布します。
DできあがったHIバルソケを手で回らなくなるまでねじ込みます。
EHiの六角部分にパイプレンチを掛けてねじ込みます。
F次に、ステンレスニップル、止水弁、メタルバルソケとヘルメ塗布とシールを同様に巻いてねじ込んでいきます。

電磁弁完了

電磁弁組み立て図

散水本管の接続方法
 散水本管に用いる部材は、直管部(パイプ)、曲管部(ベンド)、T字管部(チーズ)、制水弁部(バルブ)です。いずれの部材もゴム輪式接合継ぎ手方式を採用します。TS式のり付け方式の部材は安価ですが大口径の、のり付け接合は施工が難しく、現在本管で漏水事故の起きている最大の理由は、このTSのり付け方式を採用していい加減な施工をしてしまったことが原因です。今後はゴルフ場の散水本管は全てゴム輪式接続工法(メーカー名ではRR式とかSGR式とかいう)に布設替えしていかなければいけません。。
TSのり付けは抜ける
■直管部の接続方法
 パイプのメン部のゴム輪に滑剤を刷毛でたっぷりと塗布します。次に挿入パイプの面を取ってある、テーパー部に滑剤をたっぷりと塗布します。そして挿入されるパイプの端をバールのテコで固定します。そして挿入するパイプの先端を挿入されるパイプのゴム輪に仮当てします。ここで、挿入パイプを数回回転させ、オンとメンをなじませます。(ここが肝心)そして挿入パイプの末端を斜め体重で一気に押し込みます。その後2人で挿入されたパイプと挿入したパイプを素手で回します。(ここが肝心)人力で回るようなら接合OKです。回らない場合はゴムを押しているので漏水します。この場合は抜いてやり直しです。パイプを動かないように仮埋めして次のパイプに移ります。

陸上でつなぐ
■曲管部の接続方法
 ベントは90°45°22°11°があります。これ以外の角度で掘削すると、ベンドの2個掛けをして角度を合わせることになりますから、最初から、この角度に合うようにライン引きをして、芝切り、掘削することをおすすめします。ベンドの挿入は人力テコでは入らないので写真のようなヒッパラーを購入して、挿入するのが、確実です。挿入後ベンドを回転させて、ゴム輪を押していないことを確認してください。(ここが肝心)ベンドのゴム輪押しによる漏水事故は多発します。さて、ベンドは水圧で抜けますので、必ず離脱金具(ロックとかドックラーとも言う)を掛けます。最近はロック内蔵のベンドも市販されこれを利用した方が簡単ですが、一度挿すと、抜けません。その他に漏水事故防止の注意点は、ベント手前の直管を3m以下に切断した場合は、直間部のオン、メンにロックを掛ける必要があります。ベンドは抜け無くても、1本手前の直管で抜ける事故も多発します。最後に埋め戻しは十分注意してください。無理なセン断力を掛けて埋め戻し、ベンドにヒビが入り漏水する事故は多くみかけられます。

ヒッパラーと離脱内蔵ベント

離脱掛けベント
■T字管部の接続方法
 散水本管のチーズ部分は必ず鋳鉄製チーズを用います。これまで、塩ビ製チーズを用いた為に、チーズにヒビが入り漏水した現場をよく見かけます。ここは惜しまず、高価な離脱金具付き鋳鉄チーズを用います。挿入方法は、滑剤を付けパイプ端とチーズの又にバールを掛け、押し合って入れます。


鋳鉄製チーズ
■制水弁工(バルブ)
 散水本管の仕切り弁にはプラスチック製ハイゲート弁(キャップ式)を用います。昔は、鋳鉄製バルブやハンドル付きゲート弁を用いましたが、弁体と弁座が鋳物でできており、異物をかむと、完全に閉まらなくなります。現在のハイゲート弁はソフトシールでゴム製です。また、バルブ両端の接続方法はフランジタイプではなく簡単なゴム輪式接続方式が安価で事故がなく施工が楽です。


ハイゲート弁

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