《ここが醜悪の根源ダ》 Water System
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間違いだらけのゴルフ場 散水設備の問題点

 これまでゴルフ場の散水設計・管理・施工に長きに渡って携わってきました。その中でも既設コースの設備一括ヤリ換えを数多く手がけてきた経験から,なぜ利用者の満足する設備が作られて来なかったか。その原因を掘り下げて考えてみます。

なぜ、多くのゴルフ場散水設備は順調に働かないか

■契約上の問題点
 造成当時の散水設備工事はゼネコンに発注されます。すなわち事業主がゼネコンを選定した時点で、*1ゼネコンが出入りの*2サブコン(設備業者)を決定します。ここで本来コース管理者が要求する施設基準や希望システムは無視されてしまうわけです。元請けのゼネコンから見ると散水設備工事は雑工事発注ですからシステムの善し悪しよりも値段の安い、元請けの心やすい業者が下請け工事したのです。

  *1ゼネコン=全ての工種を監督する総合建設業者
   *2サブコン=一部門の工事施工を請け負う一次下請け業者

■大手設備業者のゴルフ場からの撤退
 近年新設コースは皆無になりゼネコンはゴルフ場建設から撤退しました。当然ゼネコンにくっついて散水設備を受注してきたサブコンは本業の上下水道工事や工場プラント設備工事に戻っていきました。バブル期に多く建設された過大設備(無線制御、光ファイバー制御、etc)に泣かされているコースも多いと思います。
■コース管理の問題点
 コース管理者は芝のメンテナンスと芝管理機械のメンテナンスは日常から点検修理作業を十分行っておられることと思います。しかし、こと散水設備については年間の使用期間が短いこともあり、専任担当者もおらず、壊れたスプリンクラーのままで、自動散水のボタンを押して自動散水完了とされているコースも多いのではないでしょうか。


散水設備設計はなぜ難しいか

■自動散水システムの成り立ち
 ゴルフ場の自動散水システムは以下の工種より成り立っています。
○土木配管布設工事(パイプの割れや抜けなど漏水例多数)
○ポンプ設備設置工事(圧力不足で散布ムラがある)
○自動制御工事(断線、漏電により電磁弁の作動不良がある)
○水収支液面計装工事(水収支のバランスが悪い)
 など、多岐に渡る総合技術でなり経っているのがスプリンクラー散水技術です。これらの各技術を合格点内に入れなければ全体として使いづらい施設となります。

■ワンパターンでない
 散水設備設計は他の芝散水施設(サッカー場・テニスコートや野球場)と違いグリーンの大きさ、FWの幅、ティーの形など形状が全て違います。また、米国のコースと違い日本のコースは地盤の高低差が大きいことが,うまく作動しない理由です。(要は高低差が大きく広い面積に均一に散水できる散水設備設計は現場経験の豊かな設計者が必要なのです。)

■塩ビパイプは抜けてあたりまえ
 一般に散水配管に用いる「水道用硬質塩化ビニール管」のメーカー保証水圧は7.5気圧なのです。水道の蛇口圧力は2気圧ですから最大使用圧力が7.5気圧で十分なのですが、ゴルフ場のスプリンクラー末端必要圧力は4.5気圧以上ほしいところです。すなわち電磁弁入り口の動水圧は6気圧以上ほしいのです。ですから、ポンプ場より下りのコースは10気圧を超える、恐ろしい圧力がかかってしまいます。こんな非常識な高圧力がかかるのですから、町の水道屋さんの施工方法ではいずれ抜けてしまいます。しかしこのような高圧力でも塩ビパイプで十分に耐えうる施工方法があります。この方法を用いずに、いくら手直しをてもいづれ漏水の原因になります。(これが塩ビパイプの悲しい現実です)


メンテナンスの現状
■のり付け施工の散水本管は寿命
オイルショックの頃に開場したコースに多いのですが(*1)散水本管にTS式のり付け工法のパイプラインは寿命です。散水本管の直管部、曲管部、T字管部等の接合部分はゴム輪式SGR管(またはRR管ともいう)に順次布設替えしていく必要があります。
この点については別の章(パイプ施工の基本)でくわしく述べます。
      (*1)散水本管=一年中ポンプ圧力の掛かっている一次側配管

■多線式自動制御方式
 電磁弁毎にプラス線を配線した、オーダーメイドの集中制御方式。ケーブルの芯数が多くなり接続箇所で絶縁不良や漏電が起こり、将来的に電磁弁の作動不良を起こす原因となります。単線式など接続箇所の少ない制御方式にヤリ替えていく必要があります。

■散水システムの診断
 これまで述べてきたように散水設備はコース造成工事の雑工事ですから元来使用する人の立場に立って作られていません。今そのしわ寄せがいろいろなところに散水不調として噴出しています。これからの猛暑時代の芝管理は目標をたて計画的に限られた予算の中で順次改善していく取り組みが必要になります。
 一刻も早く散水システムの「健康診断」を実施され体質改善をしていくことが必要な時代となってきました。


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